医者によって
  包茎に対する意見が異なるのは
      どうして?


こんな相談がありました。 (いただいた質問や医師の意見の誤解や問題点を記載)

2歳の息子さんが少しペニスを痛がった。
父親は恥垢が溜まっている
(恥垢では痛まない)のだと思い母親が泌尿器科に連れて行って受診。
A医師は
(痛みの原因は亀頭包皮炎であり)癒着を剥がして除去しない限り(亀頭包皮炎の再発予防の)方法がないと説明。
「自分で剥きますか?病院で剥きますか?」と母親に判断を求めた。
母親の同意のもと、その場で一気にむいた。
父親は2歳児の癒着を剥がしてまで治療するのが最善だと思えず別の泌尿器科医(B医師)を受診。
B医師は剥く剥かないは医師の見解が全く逆でどちらが正しいとかはないという見解。
A医師にも電話で確認し医師による意見の相違をどう考えればいいのかと岩室に相談。

以下がそれぞれの見解の概略。


A医師の見解
剥いて恥垢除去をし清潔し保つのが普通
(泌尿器科医全員のコンセンサスではないがこういう考え方もある)
岩室の冊子(OCHINCHIN)にもあるようにこの治療が最善だ
(諸問題(後記)の予防には最善ではなく唯一の方法)
皆いずれは剥くのだから、痛みを忘れる年齢で行った方が良い
(この考え方には少なからず異論あり)
岩室との違いは一日で剥いてしまう(A医師)か少しずつ剥く(岩室)の違い。
リンデロンVG(ステロイドと抗生剤入)軟膏
(小児の皮膚は大変伸びやすいので岩室はステロイドを使う必要性を感じていない)を付け一日50回位、上下に上げ下げして包皮口を広げる(再癒着する前に)。


B医師の見解
B医師は癒着を剥がさなくても抗生剤で治療はできるはずという事で幼児では剥がさない
(亀頭包皮炎は確かに抗生剤だけで症状は治まる。しかし、包茎という状態のまま、包皮を翻転して包皮内の清潔を保たなければ亀頭包皮炎を繰り返し、結果的に手術が必要になることもある)
恥垢はあったほうが、いずれ癒着を剥がしやすくなる
(のではなく、恥垢が包皮の内板と外板の間にたまるため、結果的に包皮の癒着をはがしている。岩室は今まで一度も「恥垢をためてはいけないから包皮を翻転すべきと言ったことはない」)ので最近は気にしなくて良いという見解が多くなってきた。
ゲンタシン(抗生剤)軟膏で傷口を直し、上げ下げなどせずに傷の痛みをなくす
(剥いたことの是非はともかく、剥がれたところをそのままにしておけば再度癒着しまた痛い思いをしなければならない)
それから、徐々にリンデロン(ステロイド)軟膏で少しずつ剥けるようにする
(ステロイド軟膏は包皮口が非常に狭いケースでは包皮口を柔らかくし、包皮口が広がるのを早める作用はある。しかし、亀頭部と包皮内板との癒着をはがす作用はない)


父親の思い
理屈は分かるが2歳児にそこまでしなくても。
自分の記憶では小学生位でお風呂で痛みがでないように徐々に剥いた覚えが
(いま、高校生でもむいたことがない人がいる。現代っ子は性の話を友達同士でしなくなっている。父親の経験と照らし合わせて自分の子供の将来を予測することは大変危険)
2歳の息子に痛い思いをさせ、排尿の度に泣かれ、自分自身の痛みに感じてしまう。
医師により見解の違いは仕方ないが、全く逆だと患者はどちらを信じれば良いのか?
役所の保健師
(保健師には期待しているからこそ辛口に言うが、思春期や青年期の男性とほとんど関わっていない中で、何を根拠にそう言い切れるのかぜひ聞いてもらいたい)、別の泌尿器科医師数名の見解も聞きいたが、ほぼB医師の見解だった(考えたことがない人ほど「何もしない」という。何を隠そう、岩室も若いころは何も考えず包茎の手術を積極的に行っていた。包皮翻転指導はその反省から生まれているとも言える)
2歳児の癒着を剥がすのはいきすぎ
(包皮翻転指導の目的をまずは確認したいですね)の治療方法ではないか?
岩室は2才の癒着を剥がして剥いてしまうの治療方法を推奨しているのか?
今後の治療方法も全く逆で患者はどうすれば良いのか分かりません。


岩室紳也の子どもの包皮翻転指導についての見解

考えられる目的(目的を最初に確認する必要がある)
亀頭包皮炎の予防
    亀頭包皮炎の予防(包皮翻転)指導がなく、繰り返したため手術が必要なケースも少なくない
包皮翻転の必要性に気づかず放置したままにすることによるトラブルの回避
      仮性包茎は問題はないが、むいて洗うことを知らない若者が多い
      むいて洗わないペニスには多くのHPVが付着し、子宮頸がんの原因になる
      初めての性生活で剥け、激痛のためインポテンツになった事例もある
      マスターベーション中に嵌頓し、手術を受けたケースも
      美容外科の包茎手術が必要との宣伝に騙されるケースは多数
       術後の後遺症については残念ながら治療法がないケースがほとんど
      HPV等により陰茎がんを発症するリスクはむいて洗うだけで激減
     (思春期の若者との接点が多いため、ここまで考慮して包皮翻転指導を行っています)
     (本当は若者たちの関係性の再構築やコミュニケーション能力の再開発が先だという思いです)
     (しかし、彼らの育ちや将来にまで責任が持てないので、彼らの「今」に向きあおうとしています)

     (包茎について真剣に、事例に基づき、科学的に考えている人が相変わらず少ないのは残念)

包皮翻転指導の方法
  必ず痛みを伴うことと包皮翻転指導の目的を天秤にかけ、納得できる包皮翻転指導法を選ぶ
    一気にむく
      本人は痛い
      保護者は本人の激痛と向きあわなければならない
      保護者は1〜2回通院すればいい
      通院回数が少ないから医療費は安い
    時間をかけて少しずつむく
      本人の痛みは一気にむくより少ない
      保護者はその都度痛がる子供に向き合わなければならない
      保護者は何度も通院しなければならない
      高騰する医療費がさらに増える

ステロイド使用
  岩室は必要性を感じていない
    亀頭包皮炎を繰り返しているケースでは使うこともあるだけではなく、ステロイドを使っても
    なかなか広がらないケースも少なくない。予防が一番。


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