HIV陽性献血者の告知に反対 (
未だにこんな偏見・差別が・・・)
公衆衛生のControversy 献血のHIV陽性告知をすべきか(公衆衛生2000年7月号 )
献血で行われるエイズ検査で感染が判明した人には結果を告知しないことになっていますが、実際には告知をしています。そして告知してもらえるために献血を検査目的に利用する人が増え、献血でのHIV感染判明率が増加の一途をたどっています。私は常々、感染告知に反対していますので、その理由を実際に雑誌で書いたのを転載します。なお、Controversyとして賛成の意見(霜山龍志:公衆衛生のControversy:HIV陽性献血者への告知に賛成、公衆衛生、64、510、2000)です。
献血からHIVを完全に排除することは不可能
まず最初に確認し受容しなければならない事実は、「ウインドーピリオッドに献血された血液にHIVが混入することを100%防止することは不可能」ということです。献血者が正確に申告してくれることを前提とした問診だけでHIV感染を予防するには、例えばウインドーピリオッドを3週間とすると、その期間内にコンドームなしのセックスをした全ての人の献血をお断りすることです。しかし、このようなことは献血者数を減らすだけであり、現実的ではありません。
献血の目的は何か?
献血の目的は輸血に必要な安全な血液を確保することです。輸血を受ける患者の立場からすると安全性の確保は最優先の要望であることは疑う余地もありません。しかし、現時点ではどのような検査方法を取り入れても輸血が絶対に安全とは言えないため「輸血にはHIVに感染するリスクがある」ことを十分インフォームドコンセントをして輸血をしています。さらに、輸血後に感染の有無を確認するか否かも患者自らが選択し、抗体検査を受けるしかありません。
一方で献血でHIVに感染していることを告知する理由として、その人からの新たな感染を予防することを挙げる論理があります。確かに、告知をすることである程度感染拡大を防止することができるかもしれませんが、検査結果を告知することは検査目的の献血、ウインドーピリオッドの献血を増やすことにもなります。「検査目的の献血はご遠慮下さい」という建前を言うことは検査目的の献血もあり得ると受取られています。
保健所の検査には限界がある
保健所でのエイズ検査を受けやすくするべきであるという議論は当初から保健所内外で繰り返されています。しかし、東京都南新宿(HIV[AIDS])検査・相談室のように利便性がよく気楽に検査を受けられる所を全国的に増やすことは不可能です。一方で献血は、木目細かく人が集まる駅前広場、等に献血車を横付けして対応しています。例えどんなに保健所の検査を受けやすくしても献血体制の受けやすさ越えることは不可能です。
自己責任
これからのHIVの感染経路は、@自らが選んだパートナーとのコンドームなしのセックス、A性被害、B薬物の回し打ち、C輸血、そしてD医療関係者の針刺し事故、です。この中で自己責任で回避できるのはセックスと薬物で、それ以外は不可抗力です。献血で陽性告知をすることは自己責任で回避できる感染に対して、さらに支援をするということになります。本人、あるいはそのパートナーにとってはありがたいことかもしれませんが、輸血を受ける人にとっては迷惑な話です。
みなさんはどちらを選択しますか
HIVに感染している人とコンドームなしでセックスをする人の感染予防を重視するか、自分自身の輸血のリスクを最小限にとどめてもらうことを優先させるか。私がHIVに感染するとしたら病院の診療時の針刺し事故か輸血だと思っています。私は他人がセックスでHIVに感染するリスクを減らしてあげることより、自分自身の輸血の安全性を確保することを優先したい。みなさんはどちらを選択しますか。
ただ、日赤が告知をし続けていることから、2013年12月には上記の意見を撤回せざるを得なくなりました。これからは日赤が告知し続けていることを訴え続けたいと思います。